TECHNICAL NOTES
USBオーディオインターフェース AMS-22の分解・構成調査
調査の目的
USBオーディオ機器を新規に開発する場合、オーディオ回路だけでなく、USB通信、電源、クロック、ファームウェア、評価など、複数の技術領域を横断して検討する必要があります。
そこで、開発の段取りや規模を具体的に把握するため、市販のUSBオーディオインターフェース「AMS-22(ZOOM公式製品ページ)」を当社で購入し、内部の部品構成を調査しました。
分解して基板構成を確認する
筐体を開き、基板の表裏、コネクタ周辺、基板間の接続を観察しました。入力端子や出力端子の近くにはアナログ回路、USB端子側には電源・通信に関わる部品が配置されていると考えられます。
外観観察だけで回路の役割を確定することはできませんが、端子、主要IC、電源部品、信号配線の位置関係を整理することで、USBオーディオ機器に必要な機能ブロックを推定できます。
主要部品から役割を推定する
オーディオコーデック
メイン基板B面には、オーディオコーデックとみられるICが実装されています。マーキングとパッケージ(32ピンVQFN)から、Texas Instrumentsの「TLV320AIC3101」と推定しました。このICはステレオADC/DAC、プログラマブルゲインアンプ、I²Sなどのデジタルオーディオインターフェースを備えています。
この部品がアナログ入力をデジタルオーディオ信号へ変換して制御・USB処理系へ渡し、同処理系から受け取ったデジタル信号をアナログ出力へ変換する構成と考えられます。ただし、実際の配線や設定は確認していません。
制御・デジタル処理
メイン基板A面上にある大型ICは、マーキングからNXP Semiconductorsの「i.MX RT1015(MIMXRT1015DAF5B)」と判断しました。Arm Cortex-M7コアを搭載したマイコンで、製品全体の制御やUSBオーディオ処理を担っていると推定しています。
また、メイン基板B面のフラットケーブル下には、i.MX RT1015用とみられる24 MHzの水晶振動子(型番不明)と、4 MBのフラッシュメモリ(Macronix「MX25L3233FM2I-08G」)を確認しました。
アナログ信号処理
アナログ回路周辺では、Texas Instrumentsの「OPA1662」と日清紡マイクロデバイスの「NJM4580」とみられるオペアンプを確認しました。いずれもオーディオ用途を想定した2回路入りオペアンプです。
確認した主要部品と、基板上で推定される役割を次の表にまとめます。
| 部品 | 型番 | 判定 | 推定される役割 |
|---|---|---|---|
| MCU | MIMXRT1015DAF5B | 刻印から確認 | 制御・USB処理 |
| オーディオコーデック | TLV320AIC3101 | 刻印・外形から推定 | A/D・D/A変換 |
| フラッシュメモリ | MX25L3233FM2I-08G | 刻印から確認 | ファームウェア格納 |
| 水晶振動子 | 型番不明(24.000 MHz) | 周波数表示を確認 | MCUのクロック基準 |
| オペアンプ | OPA1662など(候補型番) | 刻印から推定 | アナログ信号の増幅・フィルターなど |
調査から見えてくる開発項目
市販機の部品構成を調べることで、USBオーディオ機器の開発は、主に次の領域に分けて検討する必要があると分かります。
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アナログ回路 マイク/ライン入力の増幅、ゲイン調整、フィルター、ヘッドホンおよびライン出力の駆動
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デジタルオーディオ オーディオコーデックによるA/D・D/A変換、MCUとのデジタル音声信号の受け渡し、クロック構成
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USB・ファームウェア USB Audioクラスへの対応、USBディスクリプタ、音声データ転送、操作部および各ICの制御
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電源・実装 USBからの電源供給、各回路に必要な電源の生成、ノイズ対策、基板・コネクタ・操作部・筐体の設計
さらに、完成した機器について、周波数特性、ノイズ、歪み、レイテンシ、消費電流などを測定し、設計目標を満たしているか評価する必要があります。
部品点数だけで、新規開発の難易度や工数を判断することはできません。使用するIC、対応する機器やOS、求める音質によって、必要な回路およびファームウェア開発の規模が変わります。
現時点での調査範囲
今回実施したのは、基板の外観観察と、部品のマーキングおよび公開資料を用いた主要部品の調査です。回路図の復元、信号測定、ファームウェアおよびUSB通信の解析は行っていません。
そのため、各部品の用途や信号経路については、次の3段階を区別して記載しています。
- 部品の刻印や外観から確認できた事実
- メーカーの公開資料から確認できた仕様
- 部品の配置や一般的な回路構成に基づく推定
今後検討している検証
今後は、必要に応じて次の項目を確認する予定です。
- 基板上の配線を追跡し、電源系統と主要な信号経路を整理する
- 入出力レベル、周波数特性、ノイズ、歪みを測定する
- 入力からUSB、およびUSBから出力までのレイテンシを測定する
- USBディスクリプタ、対応サンプリング周波数、転送方式を確認する
追加の確認が進み次第、技術ノートを更新していく予定です。
参照した部品情報
- ZOOM: AMSシリーズ製品ページ
- Texas Instruments: TLV320AIC3101
- Texas Instruments: OPA1662
- 日清紡マイクロデバイス: NJM4580 Series
- NXP Semiconductors: i.MX RT1015
本調査について
本記事は、当社が独自に購入した製品を自主的に調査した記録です。メーカーによる公式情報ではなく、部品の役割や回路構成には外観および公開資料からの推定を含みます。当社と製品メーカーとの提携・協力関係を示すものではありません。
機器・電子基板の調査、試作開発について
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